採用に費やしていた2時間がたったの15分に!3年目のTeachme Bizでさらなる業務効率化を実現
■ 導入から2年半を経てTeachme Bizの活用方法が進化
——前回のインタビューから約1年半。その間の変化はいかがでしょう
タイで飲食事業を展開する弊社 ”Teppen Thailand” は創業8年目を迎えました。新型コロナウイルス(以下コロナ)の影響を受けて新たなサービスを開始するために体制変更を行いました。これまで手が回り切らなかったデリバリー体制を強化したことで、今では店舗営業に追いつく勢いでデリバリーの稼働率が高まってきています。また、「串焼き居酒屋藤花」を含めたグループ店舗はバンコク都内9店に増え、従業員は180人を超えるほどになっています。
※詳しい事業内容やTeachme Bizの導入経緯などが紹介された前回記事はコチラ
https://biz.teachme.jp/casestudy/teppen-thailand/
今後さらに淘汰されていくであろうバンコクの飲食業界で生き残るための一環としてこのほど導入したのが、弊社の価値を高める目的で発足した「8つの委員会」。これまでもサービス部門やマーケティング部門などの大きな部署は存在していたのですが、それを細分化したものが委員会であり、料理・衛生やエンターテイメント、QSC(Quality・Service・Cleanliness)といった8つの分野からお客さま目線でサービスを見つめ直すことが狙いです。当然、そこでの各役割やチェックポイントなどもTeachme Bizを通してマニュアル化していきます。
Teppen Thailand CEO 柳本 貴生様
——この2年半でTeachme Bizの使い方にも変化はあったのでしょうか?
導入当初は、キッチン・ホール・マネージャーなど各担当者に応じた基本業務の洗い出しと同時に、レシピの「見える化」に重きを置いたマニュアル作成に尽力していたのですが、2年目は作り上げたマニュアルを有効活用するためにGoogleフォームやカレンダー、Dropboxなど他のクラウドサービスと連携を図りながら、各スタッフの通常業務に組み込むことを念頭に活用をブラッシュアップしてきました。
そして3年目の今は、蓄積されたマニュアル活用のノウハウを月間の業務サイクルにまで落とし込む段階と考えています。1日の業務の実績登録をGoogleフォームでチェックリスト化し、一つひとつの業務詳細をTeachme Biz で作成したマニュアルへリンクで飛ばすようにしたり、キッチン・ホール・マネージャーなど各部門における1日の業務スケジュール及びTeachme Bizへのリンクが入力されたGoogleカレンダーをもとに、各スタッフがカレンダーをクリックするとやるべき業務内容がマニュアルで確認できるように連携させています。
スタディストさんはソフトの提供だけでなく、他のサービスとの連携を含む、解決したいこと全体に対してアドバイスをくれるので非常に助けられていますし、Teachme Biz はレシピ、接客だけでなく幅広い企業活動に使えるのが2年使い続けて分かりました。
■ 2時間が15分に!Teachme Bizで採用の新運用フローを確立
——現在、スタッフ採用までの流れを見直している最中なのだとか
これまでは採用の問い合わせがあった場合、日程を調整して私または採用担当者が一人ひとりと面接を行っていました。弊社には独自の“てっぺんイズム”なるものがあるため、その考え方を理解した上で入ってほしいこともあり、動画や対話など一人当たり毎回2時間ほどをかけていました。
だからと言って、その時間をかけても全員を採用できるわけではないですし、採用したとしても現場が合わずに数日〜数ヶ月ほどで辞める人もいます。各店舗で毎月5人を面接したとしたら、9店舗ある弊社では最低でも月90時間。これが新規店舗になれば一度に数十人のスタッフが必要になる。スタディストさんと一緒に活用ディスカッションをする中で、採用こそ、簡略化していかなければいけないと思いました。
——具体的にはどのようにマニュアル化していったのですか?
Googleフォームを併用しながらTeachme Biz の外側の仕組みを構築していきました。新たな採用運用では、以下の流れを設けました。
①応募の問い合わせを受領
②応募者に履歴書情報を登録するためのGoogleフォームとTeachme Bizのコンテンツ(写真・動画付きの会社紹介)&採用の流れ(入社前に必要な手続きを含む))を送付
③応募者がTeachme Biz のコンテンツを閲覧し、Googleフォームに履歴書情報を入力
④希望の職種に合わせたテストを実施
⑤最終面接(約15分)
⑥研修ステップ(勤務開始日から50日間)の共有
採用前の時点で実際に対面するのは⑤だけ。また②の会社紹介動画は約1時間とボリュームがあり、この動画をしっかり見られるか、見た上で働きたいと思えるかどうかを「ふるい」にかける側面もあると思うので、最終面接にやってくる人たちの意識水準も自ずと高まるのではと期待しています。
——この新体制導入は長期的な目で見て貴社の大きな分岐点になるのでは
こうしてマニュアル化・フロー化することで、今まで一人当たりの採用にとられていた2時間が最終面接の15分まで短縮できる。その分、サービスの向上や新メニュー開発に集中できるわけですから、これだけでもTeachme Biz を導入した大きなメリットだと感じています。
■ 強固なセキュリティで情報漏洩を阻止
―—現時点でのマニュアル数は?
この3年でマニュアルの数は1,000を超えました。それでも、マニュアル化できている業務は全体の2割ほどだと思っています。今後さらに増えていくのは必然ですが、それに伴い不安に感じるのは情報漏洩のリスクです。だからこそ強固なセキュリティが不可欠ですが、Teachme Bizは閲覧や編集といったアクセス権を端末ごとにこちらで細かく指定可能。社内で操作できるのは、私を含めた日本人スタッフと各業務のタイ人責任者のみにしていますし、その中でも重要な情報はごく少数の経営幹部にしか共有しないなどその機密性の高さは非常に魅力的です。
年数を重ね、格納するマニュアルが増えても安心して使い続けられるのはTeachme Bizのセキュリティだからこそだと実感しています。
―—マニュアルが増加する中で工夫されている点は?
各マニュアルはそれぞれの業務や手順ごとにフォルダ分け・タグの使い分けができるので特に混乱することはないのですが、定期的にその閲覧回数を確認することは意識しています。回数が少ない(見られていない)ものは目につきやすい場所に移動したり、全員の目に触れられるようワークフローに組み込むといった調整は随時行っています。つまるところ、マニュアルは見られなければ意味がないですし、見た回数で育成の深度が増すと思いますから。
■ JETRO「日ASEANにおけるアジアDX促進事業」を一部サポート
―—2021年から本格的に始動するJETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)の「日ASEANにおけるアジアDX促進事業」の取り組みについて教えて下さい。
関わっているのは全体のごく一部なのですが、「ミャンマーにおけるビジュアルベースの手順書による教育/トレーニング効率化の実証実験」の中で、Teppen Thailand は現地で飲食店を開業するために必要な準備と人材育成〜オープン後の基本フローを盛り込んだ手順書テンプレート作成を担当しました。
内容は全80項目で、食中毒を起こさないための除菌方法やケガの処置方法といった衛生面から調理器具の正しい使い方、食材の調理方法・解凍方法、ドリンクの作り方などの実践に関わるもの、さらには上座・下座や挨拶の仕方といった日本式のビジネスマナーまでを網羅。飲食業界歴13年、そのうちTeppen Thailandのマネージングダイレクターとして5年を経たノウハウが詰まっていますし、コロナ禍で気軽に行き来できない状況においてこういった業務マニュアルの需要は今後さらに高まっていくのではないでしょうか。
―—このマニュアルによって海外出店のスピードも急激に加速しますね
海外に出店する際、一人で立ち上げを任される方も多いかと思いますが、日本でどんなに長く飲食業を経験していても、同じやり方が通用するかと言ったらそうではありません。やはり最初は言語や文化の違いに直面しますし、何と言っても人材育成に時間がかかる。そもそも「日本食」がどんなものかも分からないスタッフがいるかもしれませんし、そういった課題をクリアしていくには日本人の手がいくらあっても足りません。
その時間・労力を大幅に短縮・軽減できるのが、今回Teachme Biz で作成した飲食店基礎手順書テンプレートだと思います。すべての項目・ステップに写真を添え、言葉が通じなくても理解できるよう「見える化」するのはもとより、すでに英語とミャンマー語に翻訳されているので「ここを見ておいて」と指示を出しておけば、その後は理解度の最終確認をするだけ。オープン時、一度に何十人もスタッフを育成しなければいけない場面で大いに貢献できると自負しています。
■ 既存の居酒屋業態に囚われない新領域への挑戦
―—今後の構想について
常に移り変わるお客さまの需要を感じ取りながら「食から世界を幸せに」という目標に向かい、進化を続けていきたいと思いますし、その上で手元にあるコンテンツを販売していくのも一つの手段。飲食に関わるノウハウはすでに蓄積されているので、店舗のフランチャイズ化やカフェなどの新業態スタート、セントラルキッチンの貸し出しといったビジネス領域をどんどん拡張していきたいですし、Teachme Biz があれば、それらが可能だと思っています。